300作品MV 解釈小説

どこまでも、空が晴れ渡っていた。


ジバはこの時を司る天の回廊で、過去を眺めていた。
どこからともなく、誰かの記憶という名の羽が宙を漂う。
すぐに、見えなくなった。

過ぎ去ってしまった時を、記憶を頼りに歩いていく。
不意に、耳元を神が放ったサイコロが横切る。
ジバの足元で、二度、三度、そのまま転がり・・・出た目は「一」だった。
次の瞬間、大きくジバのいる周りの回廊が揺れ始めた。そのまま、サイコロごと回廊にひびが入り、崩れ落ち、消えていく。
このまま奈落へと落ちたくはない。踵を返し、そのまま走り出す。

走った。
走って、走って、走り続けた。
もうどれだけ走っただろう。それでも後ろの崩れゆく回廊は、焔を上げながら崩れてゆく。
走って行って、過去の光景が現れては消え、現れては消えた。
その頬に伝うのは、汗か、それとも涙か。

もう既に息も絶え絶えだ。そのまま崩れ落ちるように倒れこむ。
肩で息をしながら、ふと、前を向く。
目の前に、友がいた。すぐに目が霞み、見えなくなっていく。
見えないままで、誰かが手を差し伸べた。躊躇いつつ、握る。
そして、その誰かが言った。

「輝いて」


目が視界を取り戻す。一点の曇りも無い。そして、やれるという自信が満ち満ちてきた。
翼が背中から生える。輝くために。
目から眼光が溢れる。輝くために。
そして、回廊の崩壊を止めるために。



今、眩く輝く―。